…気配。  これは、アイリス姉様。使えないアイリス姉様。  そして、もう一つ。  …リリー。  リリーの気配。あの頃と、全く変わってはいない。  それがたまらなく懐かしく、そして――たまらなく憎らしい。 【サルビア】  "お父様"は、あたしのことが大好き。  だって、一番優秀だから。  なのに、最近の"お父様"はあたしのことを見てくれない。  慈悲とか優しさとか――そんなものくだらないわ。  "お父様"――あなたがあたし達を生み出した理由を思い出して。そんなものとは無縁であった筈 でしょう?  今、"お父様"はあたしのことを、もしかしたら嫌っている。  あたしの為そうとしていることが、意に沿わないことなの?  たとえそうでも――  あたしは、初期衝動に寄り添う。  それは純然たる破壊衝動――  ――ジャイアント=ステップ。  そう、人間達は呼んでいる。  まだ、役者は足りてない。  姉様とリリー、そして、ドラセナ。  ドラセナの気配は感じ取れない。でも、いくらあの子だって、もう起きている筈。  今頃あの子、怯えているんでしょうね。  弱虫、グズ、根性なし。  リリーと同じくらい、あの子はキライ。  必要なコマじゃなきゃ、殺してやりたいくらいに――  もうじきよ、"お父様"  また、見せてあげるから。  この星に蠢く不要な存在達を、今度こそ、完全に抹消してあげるから。  見ててよ、"お父様"――  今度は、ジャマ立てさせないからね。リリー。 【サルビア/了】